目的を持った足。
曇り空の昼下がり、駅前の道で行き交う人々の足元に目がいった。
革靴、スニーカー、ブーツ、ハイヒール。
履いてるものは、人それぞれもちろん違う。
だけど、見ているうちにある共通点を見つけた。
それは、足取り。
力強く、そして程よいスピードで歩き去ってゆく人。
これは仕事中か何かでそこそこ急いでいる『目的を持った足取り』。
行くべき先が、時間が決まっている。
そして、軽やかに、緩やかなスピードで歩いてゆく人。
これは、散歩をしていたり、ただなんとなくぶらぶらしている『目的のない足取り』。
行くべき先も、時間も決まっていない。
迷いのない目的を持った足は、かっこいい。
だけど、ちょっとせかせかしていてせわしない。
所在なげな目的のない足は、少し頼りない。
だけど、ちょっと楽しそうで羨ましい。
あたしの足は、今『目的を持った足』であることが多い。
仕事中せかせか歩き、のろのろ歩いてる人を見ると邪魔だと思う。
退けよと思う。
そんな自分がたまに嫌になり、『目的のない足』に憧れてみたりする。
どちらがよくて、どちらが悪いのかという話ではない。
ただ、あたしの足が目的を失ったら、一体どこへ向かうのだろう?