乙一『平面いぬ』読書完了。

平面いぬ。 (集英社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。

やっと乙一4冊目を読み終わる。
今回は今ハマリ中のCITYHUNTERのマンガに夢中になってて、しばらく小説を放置してた。
で、この作品は4つの話が収録されているんだけど、2つ読んであって、残り2つを2日で読んだ。


『石ノ目』は、山の中に住む魔物で、その目を見た物は石にされてしまうという伝説っぽい話。
なんかちょっと怖い日本昔話的な感じだったけど、最後はやっぱりちょっと感動。


『はじめ』は、小学生2人が妄想の人物『はじめ』という女の子を作りだす話。
その2人だけに見える妄想の人物なのだけれど、一緒に遊んだり、冒険したり。
さも生きてるかのようなはじめとの、なんかちょっと切ない青春ストーリーでよかった。


『BLUE』は、ぬいぐるみ作家に作られた、動くことのできる不思議なぬいぐるみ達の話。
もうこれにはやられた。
電車の中で読んでたんだけど、どうにもこうにも我慢できなくてちょっとだけ泣いてしまった(笑)
不思議な布で作られた人形5体。
王子様、王女様、白馬、騎士は美しく、きちんと作られているのだけれど、青い余り布で作られた1体だけは、見かけも醜く、ついた名前はそのまま『ブルー』。
ある日5体は一緒に買われてゆき、子ども達と一緒に暮らすことになる。
動けるのがバレてしまうと返品されてしまうので、見つからないように見てないところで動く。
ブルーはその醜さから、女の子のお気に入りからはずされてしまい、悪ガキの弟にあげられてしまう。
ボロボロに扱われながらも、その男の子とブルーの間には友情が芽生え、心が通じてゆく。
そんなとき、他の4体の反乱から家が火事になりかけ、そのときブルーは……。
みたいな話なんだけど、やっぱ書いてるとぐちゃぐちゃでわからんね。
ホント文章能力無っ!
とにかく、ブルーの純粋で、まっすぐな心。
いじめられてるときのセリフ、行動のひとつひとつがホントに切なくて、悲しくて。
それでもめげずに、自分が思ったことをやり通す、そんなブルーに本当に惹かれた。
ブルーの唯一の理解者でもある騎士の行動にも感動したし。
ぬぐるみと人間、切なくともステキな話だった。


『平面いぬ』は、ひょんなことから彫ってもらった犬の入れ墨が動き出すという話。
題名も入れ墨が動くというのもあれだけど、とにかく話の設定がスゴイ。
それに、主人公の家族をめぐる話なんだけど、家族の描写が他人のように書かれていて、最初は誰のことだかよくわからなかった。
でもかえってその書き方が、家族同士のうまくいっていない、微妙な心理を表現してるみたいでよかった。
これもとにかく、ぶっとんだ話だけど、おもしろかった。


さぁー次は5冊目に突入であります。